当事務所の解決事例
2020.05.07
【No.089】事故で亡くなられた80代の男性について、保険金・賠償金合計2887万円の獲得に成功した事例
相談者:男性Nさん(80代)
事故の内容:死亡事故
項目名 | 獲得金額 |
---|---|
治療費 | 710,000円 |
入院付添費 | 290,000円 |
入院雑費 | 380,000円 |
通院交通費 | 10,000円 |
文書料 | 30,000円 |
医師への謝礼 | 60,000円 |
付添交通費 | 20,000円 |
入通院慰謝料 | 2,910,000円 |
死亡慰謝料(本人分) | 20,000,000円 |
死亡慰謝料(遺族分) | 2,000,000円 |
死亡逸失利益 | 1,670,000円 |
葬儀費用 | 1,500,000円 |
合計 | 29,580,000円 |
背景
80代の男性Nさんは、四輪車を運転して、信号機のある交差点を直進進行中、対向方向から右折進行してきた別の四輪車と衝突する事故に遭いました。
Nさんは、外傷性くも膜下出血等の怪我を負い、意識障害の状態となりました。入院し、治療を受けましたが、残念ながら、事故の約7カ月後、転院先の病院で、肺炎を直接の原因として亡くなられました。
弁護士の関わり
Nさんが亡くなられる10日ほど前に、保険会社のご紹介で、Nさんの息子さんから、ご依頼を受けました。
当初は、ご本人が存命であったことから、息子さんに成年後見人に就任してもらったうえで、息子さんから当事務所に依頼を受け、後遺障害の申請、その後の損害賠償請求をおこなう、という方向性を検討しておりました。
そうしたところ、Nさんが亡くなられた、という連絡を受けたため、ご本人の法定相続人全員から依頼を受けて、死亡事故として、損害賠償の請求を開始しました。
本件事故では、Nさんにも過失が生じることことが見込まれたため、事故状況を確認するために、まずは、実況見分調書などの刑事記録を取得しました。
そのうえで、Nさんの側の人身傷害保険から、約2300万円を先に受領しました。
この理由は、人身傷害保険金は、被害者の過失部分に先に充当されるべき、という最高裁判例が存在するためです。
本件の場合で言うと、死亡による全体の損害金額が3000万円で、Nさんの過失割合が20%であるとすると、相手方に賠償金として請求できる金額は3000万円×80%=2400万円です。
ここで、人身傷害保険金2300万円を先に受領した場合、Nさんの相続人が相手方から支払を得られる賠償金の額は、2400万円-2300万円=100万円とはなりません。人身傷害保険金はNさんの過失分である3000万円×20%=600万円の部分に先に充当されますので、賠償金から既払いの人身傷害保険金として差し引かれるのは、2300万円-600万円=1700万円のみです。
そうなるので、Nさんの相続人が相手方から支払を受けられる賠償金の額は、2400万円-1700万円=700万円となります。
結論として、人身傷害保険金と相手方からの賠償金を合わせると、過失が無かった場合と同様、2300万円+700万円=3000万円の支払を受けられることになります。
本件では、人身傷害保険金約2300万円を受領した後、交通事故紛争処理センターへの申立をおこないました。
そうしたところ、申立から3カ月ほどで、Nさんに20%の過失が存するものの、受領した人身傷害保険金が、Nさんの過失分に先に充当されることを前提として、相手方損保がNさんの法定相続人に残り約588万円を支払うべきである、とのあっせん案が示され、このあっせん案で、和解が成立しました。
所感
Nさんのケースでは、Nさん側にも過失が生じることが見込まれました。損害額が3000万円程度と大きいと、Nさんの過失が10%であっても過失相殺される金額は300万円、20%であれば過失相殺される金額は600万円と、かなり大きなものとなってしまいます。
Nさんのケースでは、Nさん側の人身傷害保険を活用し、かつ、交通事故紛争処理センターへの申立をおこなうことで、保険金、賠償金を合わせて考え得る最大の補償を得ることができました。
このように、当事務所では、被害者側の人身傷害保険なども活用し、被害者が最大限の補償を受けられる方策を、これまでの経験に基づき提案いたします。
事故で怪我を負い、補償を受けたいものの、ご自身にも過失が認められそうだという方は、是非当事務所にご相談ください