当事務所の解決事例

2021.01.18

【No.108】完治した10代学生の女性について、賠償金81万円の増額に成功した事例

相談者:女性Iさん
職業:学生
傷害の内容:右顔面骨骨折、歯性顎炎

項目名 依頼前 依頼後
治療費 1,570,000円 1,570,000円
付添費用 60,000円 100,000円
入院雑費 10,000円 10,000円
入通院慰謝料 500,000円 1,420,000円
過失相殺 0円 -150,000円
合計 2,140,000円 2,950,000円

 

背景

10代学生の女性Iさんは、親戚の方の運転する車の後部座席に同乗していました。

Iさんの乗った車が、信号機の無い交差点を、直進進行しようとしたところ、交差する道路の左側から直進してきた車両に衝突される事故に遭いました。

なお、Iさんの乗った車両側には一旦停止の規制が無く、交差する道路の側には、一旦停止の規制がありました。

事故後、Iさんは、救急車で総合病院に搬送され、右顔面骨骨折、歯性顎炎といった診断を受けました。

搬送後は一旦自宅に帰ったものの、事故後20日後から1週間程度入院して手術を受け、退院後約7カ月間通院し、顔面骨折に対する治療を受けました。

顔面骨折の治療終了後は、歯科医院に2回通院して歯の治療を受け、治療を終了しました。

弁護士の関わり

治療を終了し、相手方共済から賠償案の提示を受けた段階で、お父様を通じてご依頼いただきました。

賠償案を拝見したところ、慰謝料が不当に低い金額となっていました。

まずは、相手共済と、示談交渉を開始しました。

そうしたところ、相手共済からは、治療費を除き、約76万円を支払うという示談の提案を受けました。これは、Iさん側に、15%の過失があることを前提とした提案でした。

当方としては、Iさんが乗っていた車両の運転者の過失が、Iさんの損害賠償に反映される理由は無いものと考え、これを不服として、交通事故紛争処理センターへの申立をおこないました。

申立後、補充の主張も経て、3か月ほどで、治療費を除いて138万円を支払う、という内容のあっせん案が示されました。

このあっせん案の内容は、Iさんが乗っていた車両の運転者の過失は損害賠償額に反映されないものの、Iさんがシートベルトをしていなかったということで、Iさん側に5%の過失があることを前提としたあっせん案でした。

相手方共済、Iさん共にこのあっせん案を受諾し、和解成立となりました。

所感

Iさんのケースでは、弁護士介入後、最初に相手共済から示された示談案では、Iさんが同乗していた車両の運転者の過失に応じて、Iさんの損害賠償金額が過失相殺されて減額されてしまっていました。

ここで、運転者と被害者が異なる場合に、運転者の過失によって、当然に、被害者の賠償額が過失相殺されて減額されるわけではありません。

運転者の過失により被害者の賠償額が過失相殺され減額されてしまうのは、基本的に、運転者と被害者が生計を同一にしている場合、簡単に言うと、運転者と被害者の財布が一緒の関係にある場合です。

具体的には、同居の親子、同居の夫婦などが生計同一者に当たります。

親戚や友人は、通常、生計同一者に当たりませんから、親戚や友人の方が運転者であった場合、運転者の過失によっては、同乗者である被害者の賠償金額は減額されません。

ただし、相手損保から賠償金の支払を受けた後、求償と言って、相手損保から運転者に対して、被害者が受領した賠償金の内、運転者の過失相当分が請求されてしまう可能性があります。人間関係上、求償請求がされることは絶対に避けたい場合には、あえて、運転者の過失分は相手損保から支払を受けない、という選択肢もあり得ます。

同乗中に交通事故の被害に遭われ、運転者の過失も生じることが避けられないという方は、是非一度、当事務所にご相談ください。