当事務所の解決事例
2021.02.02
【No.111】完治した50代会社員の男性について、賠償金72万円の獲得に成功した事例
相談者:男性Sさん
職業:会社員
傷害の内容:左肩関節挫傷、腰部挫傷
項目名 | 獲得金額 |
---|---|
治療費 | 880,000円 |
入通院慰謝料 | 800,000円 |
休業損害 | 370,000円 |
過失相殺(10%) | -200,000円 |
合計 | 1,850,000円 |
背景
50代会社員の男性Sさんは、四輪車を運転して、信号機のない交差点を直進進行しようとしたところ、左側の一旦停止の規制のある側から、一旦停止することなく直進進行してきた四輪車と衝突する事故に遭いました
Sさんは、病院で左肩関節挫傷、腰部挫傷の診断を受け、接骨院を中心に半年弱通院し、ほぼ完治しました。
弁護士の関わり
事故から約3カ月が経過した治療中の段階で、保険代理店の方からのご紹介でご依頼いただきました。
ご依頼後、しばらく治療を継続いただき、治療を終了しほぼ完治した時点で、示談交渉を開始しました。
この点、Sさんは、事故当時、貨物自動車の運転及び荷物の積載業務に従事していたところ、事故後約1カ月間休業し、その後仕事に復帰したものの、2カ月程勤務したところで左肩や腰部の痛みから仕事を続けることができなくなり、事故の約3カ月後に勤務先を退職していました。
当方としては、事故後休業した1カ月間の分はもちろんとして、事故の3カ月後に退職してから約半年後に治療終了するまでの3カ月間の分についても、休業損害が生じたとして、相手損保に対し休業損害を請求しました。
これに対する相手損保の回答は、事故後1カ月休業した分の休業損害のみを認める、というものでした。
当方と相手損保との根本的な考え方が異なり、示談交渉での解決は困難であると考えられたことから、依頼者と相談し、交通事故紛争処理センターへの申立をおこないました。
申立後、補充の主張書面の提出を経て、センターからあっせん案が示されました。
あっせん案では、退職後3カ月間の休業損害について、事故前の収入を基準とした10%の金額が認められました。
Sさんと相手損保双方がこのあっせん案を受諾し、和解成立となりました。
所感
Sさんのケースでは、事故後休業し、一旦復職した後退職したことから、休業損害をどう考えるか、難しくなっていました。
一般的に、ムチ打ち症など、画像等の他覚所見が無く自覚症状のみの怪我の場合、休業損害は、事故から長くとも3カ月間分ほどしか認められないのが通例です。この点については、他覚所見のない怪我の場合には、事故から長くとも2、3カ月で元の生活に戻れるであろう、ということを示した最高裁判例もあるため、他覚所見の無い怪我で3カ月を超えて休業損害を求めていくことは、裁判となってもなかなか難しいところではあります。
加えて、一旦復職した後の休職や退職に関しては、事故との間に因果関係が無いとみなされやすい傾向にあります。
こういった次第で、Sさんのケースでは、退職後の休業損害を獲得していくことはなかなか難しいことが見込まれましたが、主治医の意見書等も証拠として提出していくことで、ごく一部ですが退職後の休業損害を獲得することができました。
交通事故の被害に遭われ、それまでのお仕事を退職してしまったという方は、是非一度、当事務所にご相談ください。