当事務所の解決事例

2021.02.03

【No.112】事故で亡くなられた70代専業主婦の女性について、賠償金3639万円の獲得に成功した事例

相談者:女性Hさん
職業:専業主婦

項目名 獲得金額
治療費 300,000円
入通院慰謝料 20,000円
葬儀費用 1,330,000円
死亡慰謝料 25,000,000円
逸失利益(就労分) 15,550,000円
逸失利益(年金分) 3,720,000円
過失相殺(20%) -9,180,000円
合計 36,690,000円

 

背景

70代専業主婦の女性Hさんは、道路を歩行して横断中、右から進行してきた四輪車に衝突される事故に遭いました。

Hさんは、多発骨盤骨折等の怪我を負い、救急車で総合病院に搬送されたものの、搬送先の病院で、間もなく亡くなられました。

弁護士の関わり

事故から2カ月余りが過ぎた後、Hさんの娘さんから、ご依頼をいただきました。

死亡事故の場合、賠償金額が大きくなるため、双方の過失割合を決める根拠資料となる刑事記録の取り付けが必須となってきます。

刑事記録は、事故の加害者に対する刑事処分が終了(刑事裁判になった場合であれば判決が確定)しないことには、被害者側は取り付けることができません。

そのため、刑事処分の確定を待つこととしました。

事故から約1年5カ月を経て、ようやく事故相手方に対する刑事裁判が確定した、ということで、判決書、供述調書、実況見分調書と言った、刑事記録の写しを取得しました。

刑事記録を確認したうえで、賠償額を算出し請求をおこなったところ、事故相手方本人も、早期円満な解決を望んでおられるということで、ほぼ当方請求通りの金額で、すなわち、訴訟をおこなった場合に予想される最大限の金額で、示談となりました。

所感

Hさんのケースでは、刑事記録を取得するまでに、長い時間を要しました。

刑事記録とは、警察や検察で作成される実況見分調書、供述調書及び裁判所で作成される判決書、公判調書のことです。

ドライブレコーダーや防犯ビデオカメラの記録が無い場合には、刑事記録が、事故の状況を証明する唯一の客観的証拠となる場合がほとんどです。

この刑事記録ですが、あくまで、事故の加害者に、どのような処分(不起訴処分、有罪判決など)を下すのかを決めるために作成されるものであって、民事の過失割合を決めるために作成されるものではないので、事故被害者がこれを取得することができるのは、あくまで、副次的なものに過ぎません。

そうなるので、事故の被害者が刑事記録を取得することができるのは、加害者に対する刑事の処分が終了してから、となっています。

加えて、事故加害者に対する処分が、不起訴処分で終了した場合には、取得できる刑事記録は、通常、実況見分調書(事故の状況を記した絵図)だけです。

Hさんのケースのように、事故相手方が起訴されて、刑事裁判で判決を受けたような場合には、実況見分調書に加えて、判決書や供述調書(加害者本人が警察や検察に対して話した内容を記録した文書)も取得することができます。

被害者に怪我があるケースでも、前科や、居眠りや酒酔い、現場からの逃走など加害者側に余程の落ち度が無い限り、不起訴となるケースが多いので、被害者側は実況見分調書しか取得できないケースがほとんどです。ただ、被害者が亡くなられた事故であれば、加害者側は起訴されて刑事裁判となるのが通常です。

Hさんのケースでは、刑事記録を取り付け、その内容を確認し、過失割合について、裁判となった場合に予想される中で、Hさんにとって最も有利と考えられる割合でもって請求をおこない、示談締結となりました。

交通事故の被害に遭われた方は、是非一度、当事務所にご相談ください。