当事務所の解決事例

2021.06.04

【No.123】併合4級認定の50代会社員の男性について、賠償金4905万円の獲得に成功した事例

相談者:男性Iさん
職業:会社員
後遺障害の内容:併合4級

項目名 獲得金額
治療費 2,060,000円
付添費 850,000円
入院雑費 140,000円
通院交通費 20,000円
その他 90,000円
休業損害 3,220,000円
入通院慰謝料 2,420,000円
後遺障害慰謝料 16,700,000円
後遺障害逸失利益 20,030,000円
将来介護費 13,360,000円
過失相殺(-10%) 5,889,000円
合計 53,001,000円

 

背景

50代会社員の男性Iさんは、二輪車を運転して公道を走行し、信号機の無い交差点を右折しようとしたところ、後方から走行してきて、Iさんの二輪車を右から追い越そうとした四輪車と衝突する事故に遭いました。

Iさんは、ドクターヘリで大学病院に救急搬送され、外傷性くも膜下出血、頭蓋底骨折、右鎖骨骨折、右肩甲骨骨折等の診断を受けました。Iさんは、搬送先の大学病院にそのまま入院、その後転院し、事故から通算3カ月間入院しました。退院後は、約1年2カ月にわたり、脳神経外科、神経精神科、整形外科に通院し、事故から約1年5カ月後に、症状固定となりました。

弁護士の関わり

事故の約3週間後という、直後と言える段階で、ご依頼いただきました。

ご依頼後、しばらくの間は、当事務所職員と密に連絡を取っていただきながら、治療を継続していただきました。「外傷性くも膜下出血」という傷病名から、当初より、高次脳機能障害の後遺症の残存が考えられましたので、それを見据えて、Iさんの奥様には、Iさんの行動や発言で、事故前と様子の変わった点があれば、できるだけメモを取っておいてほしい、ということをお願いしておきました。

事故の約1年1カ月後、相手方損保から「そろそろ症状固定かどうか、確認してほしい」という打診があったことから、Iさんの奥様にご来所いただき、打ち合わせをおこないました。

奥様から主治医にも確認いただき、結局、事故の約1年5カ月後を症状固定として、後遺障害の申請をおこないました。

申請から4カ月程の期間を要しましたが、高次脳機能障害について5級2号、鎖骨の変形について12級5号、右肩関節の機能障害について12級6号で、併合4級の認定を得ることができました。

再度、Iさんの奥様にご来所いただき、認定された4級の後遺障害を前提に賠償請求を進めるのか、それとも、上位等級を目指して異議申立をおこなうのか、検討のための打ち合わせを行いました。

当事務所としては、認定された等級は妥当、という判断であったことから、判断根拠と共にその旨奥様にご説明させていただき、結論として、認定された等級を前提に賠償請求を行っていくこととなりました。

交渉の結果、相手損保からは、治療費、休業損害等の既払い金を除いて、4492万円を支払う旨の示談提案を受けました。この示談案は、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料については訴訟基準の95%とし、かつ、過失割合についてはIさんの過失を15%とするものでした。

損害額が大きいことから、少しの考え方の違いにより、賠償金にも多額の差が生じてくるため、相手損保提案で示談すべきではない、と弁護士としては判断しました。そのため、Iさんの奥さんには、上の手続に歩を進める方向をお勧めし、結果、交通事故紛争処理センターへの申立をおこなうこととなりました。

申立後、相手損保からは、改めて、過失割合につき、Iさん15:相手方85であることを根拠づける意見書が提出されました。

これを受け、当方からも、刑事記録(実況見分調書及び供述調書)の内容を踏まえた、過失割合に関する主張書面を提出しました。

最終的に、慰謝料については訴訟基準通りとし、過失割合についてはIさん10:相手方90であることを前提とする、既払い金を除いて4905万円の支払を受ける内容のあっせん案が示され、Iさん、相手損保双方がこのあっせん案を受諾し、あっせん成立となりました。

所感

Iさんのケースでは、事故直後から、外傷性くも膜下出血の診断を受けており、かつ、事故直後は、ご自分の年齢や生年月日、当日の日付もわからない状態であったことから、高次脳機能障害の後遺症の残存が予想されました。

高次脳機能障害の後遺障害の認定を受けるためには、事故直後の意識障害、MRI等の画像所見に加えて、事故前と比較して性格に変化が生じたり認知能力が低下が生じている、ことが必須の要件となります。

性格の変化や認知能力の低下の根拠資料としては、当然、医師の作成する意見書も重要ですが、同様に、近親者の作成する「日常生活状況報告」も、重要な資料となります。

そのため、高次脳機能障害が疑われる場合、近親者には、被害者の発言や行動に「あれ?事故前と違うな?」という部分が見られた時には、逐一、メモを取っておいてもらい、これらのメモを見ながら「日常生活状況報告」を作成いただく、ということが有用です。

また、Iさんのケースでは、過失割合も、大きな争いとなっていました。

元々の損害額が小さい事故であれば、5%程度の過失割合の差によっては、賠償金額には大きな差は生じません。

しかしながら、元々の損害額が4000万円~5000万円と大きくなってくると、過失割合5%の違いでも、賠償金額としては200万円~250万円と大きな差が生じてしまいます。

Iさんのケースでは、示談交渉段階における相手損保からの提案、としては、訴訟基準をベースとしたかなり誠実な提案がされてはいたのですが、示談案でよしとせず、紛争処理センターへの申立をおこなったことで、示談段階の提案よりも400万円以上高い金額で和解することができました。

交通事故の被害に遭われ、重い怪我を負われた、という方は、出来るだけ早い段階で、当事務所にご相談ください。