当事務所の解決事例

2022.03.28

【No.154】完治した30代会社員の女性について、賠償金・保険金267万円の獲得に成功した事例

相談者:女性Jさん
職業:会社員
傷害の内容:骨盤骨折、外傷性気胸

項目名 獲得金額
治療費 570,000円
入院雑費 10,000円
入通院慰謝料 2,000,000円
休業損害 660,000円
合計 3,24,000円

 

背景

30代会社員の女性Jさんは、夜間にジョギングをしていて、歩行者用信号で交通整理のされた横断歩道を赤信号で横断してしまったところ、右から、黄色信号で交差点に進入し直進してきた普通貨物自動車に衝突される事故に遭いました。

Jさんは、救急車で総合病院に救急搬送され、骨盤骨折、外傷性気胸等の診断を受けました。Jさんは、救急搬送された総合病院において約70日間入院治療を受けた後、同じ総合病院にて2回ほど通院治療を受け、完治しました。

弁護士の関わり

事故の約10日後という、直後と言える段階で、入院中のご本人に代わり、ご両親を通じてご依頼いただきました。

ご依頼の時点では、Jさんが、歩行者用信号の色が何色の時に横断を開始したのか、はっきりしていませんでした。

ただ、Jさんの側に大きな過失が生じてくる可能性が高かったことから、相手損保は治療費の支払対応に応じていませんでした。

そのため、まずは、Jさんが加入していた保険の人身傷害保険を使用して、治療費の支払をおこなってもらうこととなりました。

治療が終了した頃、ちょうど、相手方に対する刑事処分が終結し、刑事記録を取得することができました。

刑事記録を確認したところ、Jさんが、赤信号で横断を開始してしまったことが明らかとなりました。

刑事記録確認後、まずは、Jさんの人身傷害保険から、治療費を除き、慰謝料・休業損害等約132万円の支払を受けました。

この保険金の支払を受けて、相手損保との交渉を開始したところ、相手損保の回答は、まずは損害額を算出し、そこからJさんの過失分を差引き、そこからさらに、Jさんの人身傷害保険会社が自賠責保険会社から回収した120万円を差引く、という理屈で、約15万円の示談提案をおこなってきました。

当方としては、人身傷害保険会社が自賠責から回収した金額に関らず、人身傷害保険金はすべてJさんの過失部分に充てられるべきと考えており、根本的な考え方の違いによって金額の開きがあまりに大きく、示談の成立の見込みが無いものと判断して、交通事故紛争処理センターへの申立をおこないました。

申立後も、相手損保は、本件事故現場道路が幹線道路であるためJさんに不利に過失割合が修正されるべきであるとか、人傷社が自賠社から120万円回収したのであるからその120万円は過失相殺後の損害額から差引かれるべきであると言った主張をおこなってきました。

ただ、当方から反論の主張書面を提出したところ、これらの主張はいずれもあっせん案においては受け入れられず、当方認識どおり人身傷害保険金はすべてJさんの過失に充てられることを前提として、約135万円の支払を受ける内容のあっせん案が示され、このあっせん案の内容で和解成立となりました。

結果的に、人身傷害保険金と相手損保からの賠償金を合わせて約267万円の支払いを受けることができました。

所感

Jさんのケースでは、結局、あっせん案においても、Jさんの過失割合は55%と、5割を超える過失割合が認められていました。

この点、現状の判例においては、自身が加入している人身傷害保険は、自身の側の過失に充当される、ということになっています。

そして、この人身傷害保険金は、約款の規定上、相手方から賠償金を受領するのに先立って受領しないと、自身の過失に充当されることはありません。

Jさんのケースからも明らかなように、この人身傷害保険の仕組みを上手く活用することにより、ご自身の過失が大きい事故であっても、人身傷害保険金と賠償金を合わせれば、ご自身に過失がない場合に得られる賠償金と同程度の金額を得られる可能性も十分にあります。

ただ、弁護士を立てずに自身の保険会社に人身傷害保険金の請求をおこなっても「先に相手損保から賠償金をもらってから請求してください」などと言われて事実上断られてしまったり、人身傷害保険金をもらってから相手損保に賠償金請求をおこなっても、Jさんのケースのように、人身傷害保険会社が事故相手方の自賠責保険から回収した金額は事故相手方が賠償義務を負う金額から差引かれるべきだ、などといった主張がなされたりして、うまくいかないことがほとんどです。

交通事故に遭われ、ご自身の側の過失が大きいという方は、是非、できるだけ早い段階で、当事務所にご相談ください。