当事務所の解決事例
2022.07.22
【No.168】14級4号認定の10代会社員の男性について、賠償金122万円の増額に成功した事例
相談者:男性Nさん
職業:会社員
後遺障害の内容:14級4号
項目名 | 依頼前 | 依頼後 |
---|---|---|
治療費 | 380,000円 | 380,000円 |
入院雑費 | 6,600円 | 9,000円 |
通院交通費 | 13,000円 | 14,000円 |
休業損害 | 0円 | 50,000円 |
入通院慰謝料 | 280,000円 | 1,200,000円 |
後遺障害診断書料 | 19,000円 | 19,000円 |
後遺障害逸失利益 | 0円 | 0円 |
後遺障害慰謝料 | 320,000円 | 1,300,000円 |
自賠責保険金調整額 | 430,000円 | 0円 |
過失相殺(-10%) | 0円 | -297,200円 |
合計 | 1,448,600円 | 2,674,800円 |
背景
10代会社員の男性Nさんは、普通貨物自動車を運転して公道を走行していたところ、左側の店舗駐車場から右折のために道路に進入してきた普通乗用自動車と衝突する事故に遭いました。
左から衝突されたNさんの車両は右側に横転し、運転席が路面と接触して、Nさんの右腕は地面にこすりつけられました。
Nさんは、総合病院に3日間入院した後、総合病院の整形外科と形成外科に約10カ月間通院し、症状固定となりました。
弁護士の関わり
相手方損保から示談案が提示された段階で、ご依頼いただきました。
拝見すると、入通院慰謝料も、後遺障害慰謝料も、ごくわずかな金額しか計上されていませんでした。
その一方で、自賠責保険金調整額、なるものが加算されていたり、当方に過失が生じてくることが避けられない事故であるにも関らず過失相殺されていなかったりと、一見、当方に有利な箇所もありました。
ご依頼後、示談交渉を開始したところ、相手方からは、約170万円を支払う旨の再提示がありました。
未だ、当事務所の想定する妥当金額との間に開きがあったことから、交通事故紛争処理センターへの申立をおこないました。
申立後、補充主張等をおこない、あっせん案が示されました。
あっせん案では、後遺障害逸失利益こそ認められていなかったものの、その分、後遺障害慰謝料が裁判の基準よりも増額されていました。
示されたあっせん案の内容で和解となりました。
所感
Nさんのケースでは、弁護士介入前の相手損保の示談案に「自賠責保険金調整額」なるものが43万円計上されていました。
これは、要するには、相手損保の基準で算出した賠償金額と、自賠責保険会社から支払われる自賠責保険金の差額のことです。
Nさんのケースに関して言えば、自賠責の基準では後遺障害14級の慰謝料は32万円、とされているため、相手損保も、32万円を慰謝料として計上していました。
他方、相手損保は、Nさんに認定された後遺障害が腕の瘢痕、というものであり、仕事に影響は無いと判断してだと思いますが、後遺障害逸失利益をゼロとしていました。
この一方で、自賠責保険においては、後遺障害14級が認定された場合、慰謝料と逸失利益を合わせた金額として、75万円という金額が支払われます。
そのため、相手損保としては、自賠責保険から支払われる分は支払うものの、逸失利益についてはあくまでゼロである、と考えていることを示すために、自賠責から支払われる75万円と自賠責の基準での慰謝料額32万円との差額43万円を、自賠責保険金調整額、という項目で計上したものと思われます。
弁護士介入後に受ける示談提案で、こういった「自賠責保険金調整額」なるものが計上されることはありません。
このように、弁護士が介入していない時点で相手方損保から提示される示談案は、慰謝料、逸失利益など、各項目ごとに金額を算出しそれを積み上げた金額ではないことが往々にしてあります。
この点を見ても、法律や裁判例に照らして各項目ごとに算出された妥当な示談金の支払を得るためには、弁護士の介入が必須と言えます。
交通事故に遭われて、相手方損保から示談提案を受けた方は、是非当事務所にご相談ください。