当事務所の解決事例

2024.02.01

【No.239】併合8級認定の50代法人職員の女性について、賠償金2168万円の獲得に成功した事例

相談者:女性Oさん
職業:法人職員
後遺障害の内容:併合8級

項目 獲得金額
治療費 4,390,000円
入院雑費 30,000円
通院交通費 30,000円
通院付添費 80,000円
文書料 20,000円
雑費 270,000円
休業損害 3,650,000円
傷害慰謝料 1,800,000円
後遺障害逸失利益 10,020,000円
後遺障害慰謝料 8,300,000円
合計 28,590,000円

 

背景

50代法人職員の女性Oさんは、普通乗用自動車を運転して公道を走行し、信号機のある交差点に至り青信号で直進進行しようとしたところ、右側から赤信号無視で交差点に進入し直進しようとしてきた大型貨物自動車に衝突される事故に遭いました。

Oさんは、事故直後に救急車で総合病院に搬送され、外傷性脾臓破裂、外傷性くも膜下出血、骨盤骨折、肩骨折等の診断を受けました。Oさんは、17日間の入院後、9カ月間弱に渡って整形外科と接骨院に通院し、症状固定となりました。

弁護士の関わり

事故の約4カ月後にご依頼をお受けしました。

ご依頼後、しばらく治療を継続いただき、症状固定に達したことから後遺障害の申請を行ったところ、額の線状痕について「外貌に相当程度の醜状を残すもの」として9級16号、脳損傷後の神経症状について「局部に頑固な神経症状を残すもの」として12級13号、右眼の羞明(まぶしさ)について14級相当、合わせて併合8級の後遺障害認定を受けることができました。

この後遺障害等級を前提に、示談交渉を開始しました。

当方から賠償請求を送付したのに対し、相手方損保担当者からは「後遺障害逸失利益についてはどれくらいをお考えか」という問いかけがありました。当方としては、とりあえず示談案を出していただいたうえで考えたいと回答し、示談案を出してもらいました。

相手方損保の示談案では、後遺障害逸失利益以外はほぼこちらの請求通り、後遺障害逸失利益については、労働能力喪失率を14%、労働能力喪失期間を12年間として算定されていました。

当方として、裁判例等を調査したうえでOさんと打ち合わせを行い、後遺障害逸失利益については、労働能力喪失率を20%、労働能力喪失期間を15年間として算定して相手方に最終提示する方針としました。

相手方損保がこの当方の最終提示を受諾し、示談となりました。

所感

Oさんのケースは、醜状障害の後遺障害が認定されました。

この点、醜状障害の後遺障害は、後遺障害逸失利益が生じるかどうか、非常に問題になりやすい後遺障害の類型です。

すなわち、後遺障害逸失利益とはそもそも、後遺障害が将来の仕事に与える影響を埋め合わせるお金のことです。

そうなると、事故により顔や身体に傷痕が残ったとしても、俳優やホステスといった容貌が特別に重要な仕事でない限りは、仕事に影響が及ぶことはなく、後遺障害逸失利益は生じないのではないか、という考え方もとることができ、損保側はそういった主張を行ってきます。

実際、Oさんのケースでも、相手方損保の最初の示談提案における労働能力喪失率は14%でした。これは、12級に対応する労働能力喪失率で、要するには、外貌醜状に関しては、労働にはまったく影響がないことを前提とする提案でした。

この点、裁判例等を見ていても、確かに、9級の醜状障害の場合、9級に対応する35%という労働能力喪失率が認定されている裁判例は極めてまれであって、労働能力喪失率をゼロとする裁判例も少なくはありませんでした。

ただ、本件と同様に他の後遺障害と合わせて併合8級となった9級の醜状障害の事例で、20%の労働能力喪失率が認定された裁判例が散見されました。

そのため、その裁判例を添付して交渉を行い、20%の労働能力喪失率を前提とした後遺障害逸失利益を、示談交渉で獲得することができました。

このように、醜状障害の後遺障害の逸失利益の考え方は、他の後遺障害と比較しても特に難しい部分があるため、弁護士が交渉に入ることが不可欠と言えます。

事故に遭われて、顔や身体に傷痕が残ってしまったという方は、是非当事務所にご相談ください。