当事務所の解決事例

2025.01.31

【No.289】完治した70代兼業主婦の女性について、保険金・賠償金54万円の獲得に成功した事例

相談者:女性Hさん
職業:兼業主婦
傷害の内容:外傷性頚部症候群等

項目 獲得金額
治療費 220,000円
通院付添費 45,000円
休業損害 0円
傷害慰謝料 450,000円
弁護士費用 40,000円
遅延損害金 5,000円
合計 760,000円

 

背景

70代兼業主婦の女性Hさんは、川沿いの道路を歩行し、道路を横断して川にかかった橋を渡ろうとしていたところ、川の対岸から橋を渡って右折してきた普通乗用自動車に衝突される、という事故に遭いました。

Hさんは、事故当日に受診した総合病院で、外傷性頚部症候群等の診断を受けました。その後、クリニックに、約5カ月間、14回に渡って通院し、完治しました。

弁護士の関わり

事故の約5日後という、直後と言える段階でご依頼いただきました。

ここで、本件事故の相手方は、任意保険未加入で、自賠責保険にしか入っていませんでした。

事故相手方が無保険(任意保険未加入)ということもあって、まずは、Hさん側の人身傷害保険を使用して治療費を賄った後、人身傷害保険から、慰謝料として約12万円の支払いを受けました。

自賠責の支払基準に従えば自賠責保険から支払われるはずの慰謝料や治療費は、全て人身傷害保険から支払いを受けたのですが、「自賠責保険金の支払基準は裁判所を拘束しない」という最高裁判例があるため、これに基づき、相手方の自賠責保険会社に対し、訴訟を起こしました。

訴訟提起から実際の着金まで10カ月ほどの期間を要し、人身傷害保険金とは別に、確定判決に基づき、相手方の自賠責保険会社から、約42万円の支払いを受けることができました。

所感

Hさんのケースは、相手方が任意保険未加入で、自賠責保険にしか加入していませんでした。

この点、事故相手方が自賠責保険にしか加入していない場合、「被害者請求」といって、相手方の自賠責保険に、直接、治療費や慰謝料を請求していくのが定石です。

ただ、事故相手方の自賠責保険に通常どおり被害者請求を行っても、支払われるのは、あくまで、自賠責の支払基準に基づく慰謝料や休業損害です。

Hさんのケースでは、通院が14回だったので、自賠責の支払基準では、慰謝料金額は12万0400円(4300円×実通院日数14日×2)となります。人身傷害保険から既に慰謝料12万円を受領しているので、自賠責保険に請求する慰謝料は無い、ということになってしまいます。

この点、上述のとおり、「自賠責保険金の支払基準は裁判所を拘束しない」という最高裁判例が出ているため、自賠責保険会社に対し訴訟を起こせば、自賠責の支払基準には拘束されず、裁判所の判断で(基本的には裁判所の基準で)、慰謝料が算定され、判決が下されることになります。

ただし、この場合でも、120万円という、後遺障害認定が無い場合の自賠責保険金の上限金額には拘束されますので、後遺障害認定が無い場合には、120万円を超える額が認定されるわけではありません。

Hさんのケースでも、相手方の自賠責保険に対し訴訟を起こすことで、人身傷害保険からも自賠責保険からも得られない額の慰謝料の支払いを受けることができました。

事故に遭われて、お怪我をされたものの、事故相手方が任意保険に加入しておらず、自賠責保険しかない、という方は、当事務所にご相談ください。